静けさが、思考をほどく。― 天草・城河原で出会う、静寂とミステリー ―

天草市五和町城河原地区には、自然とともに育まれてきた人々の暮らしや信仰が、今も静かに息づいています。
川のせせらぎや里山の風景に包まれながら、土地の記憶にそっと触れる時間は、日常ではなかなか得られない特別なひとときです。

こうした穏やかな環境に身を置くことで、脳は緊張から解放され、副交感神経が優位になるといわれています。
忙しい日々で疲れた頭と体をやさしくリセットし、心を整える場所として、城河原はワーケーションの合間にもぜひ訪れてほしいエリアです。


下記は、城河原エリアを代表するスポットです。

① 鬼の碁盤石(おにのごばんいし)

城河原の内野川源流付近、静かな渓流沿いに佇む「鬼の碁盤石」は、自然の中に残された巨大な石の史跡です。幅およそ3メートルの巨石には、不思議な文様や古拙な文字、ペトログリフのような刻みが見られ、古代の人々が祈りや意味を込めて刻んだものではないかと考えられています。

滝の上部に位置することから、滝下を祭祀の場とする信仰空間であった可能性も指摘されており、周辺では石器や研磨された石が発見されたこともあります。自然を畏れ、恵みに感謝しながら暮らしてきた人々の精神性を感じられる場所です。

② 高島宮(たかしまぐう)

高島宮は、五和エリアに鎮座する由緒ある神社で、古くから地域の人々の信仰を集めてきました。五穀豊穣や地域の安寧、海上安全などを祈る社として、現在も大切に守られています。

境内へと続く石段は、九州最古といわれる石段として知られています。自然石を活かした素朴な造りで、古代の祭祀や信仰の場へと続く参道として築かれたともいわれています。一段一段を踏みしめながら登ることで、城河原の歴史の深さを体感できます。

③ 上の原神社の大クス

上の原神社の境内に立つ大クスは、樹齢約500年ともいわれる五和エリア屈指の巨木です。高さ約20メートル、幹回り約7メートルにも及ぶ堂々たる姿は、長い年月を生き抜いてきた力強さを感じさせます。

古くから神木として崇められ、人と自然の境界に立つ存在として大切にされてきました。境内に流れる静かな空気は、心を落ち着かせてくれます。

④ 城木場神社(じょうきばじんじゃ)

城河原に鎮座する城木場神社は、阿蘇十二神や天照皇大神などを祀る歴史ある神社です。江戸時代にはすでに地域の信仰の中心として存在していたと伝えられています。

例大祭などの際には、獅子舞をはじめとする伝統芸能が奉納され、地域の人々によって大切に受け継がれています。信仰と暮らしが今も結びついていることを感じられる場所です。

⑤ 観音寺(かんのんじ)

観音寺は、城河原にある曹洞宗の寺院で、地域に根ざした祈りの場として長く親しまれてきました。静かな境内では、日常の喧騒から少し離れ、心を整える時間を過ごすことができます。

※掲載写真は、新しい住職(新命住職)が、その寺院の住職として正式に就任し、山内(寺)に入ることを告げる「晋山式」の様子です。
晋山式は、僧侶や檀信徒が参列し、新命住職を迎える厳粛な儀式で、寺と地域との新たな歩みの始まりを意味しています。

⑥ 内野川のホタル

初夏の城河原の自然を語る上で、もうひとつの魅力が 内野川のホタル です。内野川沿いは、清流を好むゲンジボタルの名所として知られ、例年5月初旬から6月初旬頃にかけて淡い光の舞が見られます。夜の川辺に漂うほのかな光は、初夏の訪れを感じさせてくれる風物詩です。鑑賞の際は、暗がりで足元に注意し、ホタルや周囲の環境を守る配慮で楽しみましょう。

城河原地区には、鬼の伝承や古社寺、巨木、里山の自然、そして季節の光景まで、長い時間をかけて受け継がれてきた“土地の物語”が点在しています。
それぞれの場所は決して派手ではありませんが、歩くことでこそ感じられる静けさや、人と自然が寄り添ってきた痕跡があります。

仕事の合間に、あるいは思考を整えたいときに。
ゆっくりと歩きながら巡る城河原の散策は、心と脳を休め、日常に新しい余白をもたらしてくれるはずです。

下記の城河原散策マップを参考に、気の向くままに、自分のペースで歩いてみてください。
きっと、あなただけの「静かな発見」に出会えるはずです。

城河原マップはこちら